⑨AI時代でも自費施術店探しは17年前のまま

市場・経営

よくいただくお問い合わせの中に、たまに「直接会って相談したい」というご希望があります。

実際にお会いすると、お客様の勉強量には本当に驚かされます。

症状や治療法について細かく調べ上げていて、「ここまで知ってるの!?」とこちらが感心してしまうほどです。

中には、私が知らない療法の話や、症状に関する学術論文・エビデンスをもとにした仮説まで飛び出すこともあります。

ネットにはそれだけ多くの情報が出回っているということですよね。

お客様は気になったホームページの「症状・原因・対策」をじっくり読み込み、さらに複数の治療院を比較している。

こうした情報の積み重ね方は、17〜18年前からあまり変わっていないように思います。

ただし、症状や原因、対策を理解したからといって、すぐに来店につながるわけではありません。

むしろ「数か月通わないと効果は実感できない」という経験をすでに持っている方がほとんどなので、最初から「1回だけ体験して終わり」という気持ちで来られる方は少ないんです。

とはいえ、数か月通うのはお客様にとって大きなリスクです。だからこそ「検討の材料にできるかどうか」を確かめに来られるのだと思います。

今の時代、必要な情報はほとんどネットで手に入ります。

足りないのは“実際に体験すること”。

それでは、体験が目的でないのに、わざわざ来店してまで得たい情報って何でしょうか?

お客様に直接聞いても、はっきりとした答えは返ってきません。けれど、いろいろなお話を伺う中で、共通して出てくる言葉があります。

それをまとめると「人物像」と「仕事の仕方」。

つまり、「ブログに書かれている雰囲気と同じような人なのか?」「公式サイトにある理念やこだわりが、実際の仕事にも反映されているのか?」――。

お客様は、そうした部分を“実際に会って”確認しているんだと感じます。

では、なぜ、お客様はそれほどまでに「人物像」と「仕事の仕方」を確かめたがるのでしょうか?

私は想像するに、それは見積もりが欲しいからではないでしょうか?

実際、お客様から見積もりを求められていなくても、私が見積書を渡すと、とても喜んでくださるのです。

たとえ、その見積書に「あなたの願いが叶うまで、最低でも50回はゆうにかかります」とか、「週1回のペースで1年間。その後、もし条件に達していれば、2週に1回のペースに切り替えられるかもしれませんし、できないかもしれません」と記されていても、お客様はその提案に納得してくださいます。

ということは、お客様が本当に知りたかったのは、単に施術料金がいくらかということではなく、自分の願いを叶えるために、どれくらいの時間と費用が必要になるのか、ということだったのではないでしょうか?

そう考えると、見積もりを求めていたという私の仮説も、あながち間違いではないように思うのです。

もしかすると、お客様は見積もりが欲しいと思っていても、どう伝えればよいのかわからないのかもしれません。

だからこそ、成育歴や、小さなころからどんな姿勢で育ってきたか、どんな事故にあったかなど、私が質問する前から、お客様の方が堰を切ったように話し出すのではないか。

その姿を見て、私は思うのです。

「ああ、この人は、見積もりが欲しいと訴えているのか」と。

私、(2026年3月までのお店のホームページでは)初見のカウンセリングでお見積もり出せますよ、と強調してきましたから。

もし、それが正しいならば、私が修行時代に学んだセールストークは、まさにそういう内容でした。つまり、私が美容整体店での修行を始めた23年前から、初回のカウンセリングでやってきたことは、ずっと変わっていないということです。

AI任せの時代に突入した現在でも、同じ。つまり、変わらないってことになるのです。

しかし、お店選びの最終段階が23年前と変わらないからといって、いきなり見積もった金額を提示してはいけませんよ。

③デビューしたての時の一番最初の困りごと
美容整体時代、正直さと売上の狭間で悩んだ私が、信念を曲げずに売るためのセールストークを生み出すまでの実話。

↑の記事に書いてますが、それは私もよく失敗しましたから、通用しないのはわかります。

だからこそ、定型句のような決め台詞的なセールストークが抜群に決まるんですよ。

確かに、AI任せの提案では、そもそもお客様の最初の選択肢に入れないかもしれません。

しかし、どのみち自費施術店は、お客様が症状に悩み始めた最初の段階で広告を出して目の前に現れたとしても、すぐに選んでもらえるとは限りません。

ホームページを見て、健康保険が使えるところより全然高いじゃないか!?と思われてしまうからです。

そうなると、最初はやはり整形外科や、健康保険が適用される整骨院などに足を運ぶはずです。

そして、そこで満足できなかった人たちが、AIのおすすめだけに頼るのではなく、自ら検索バーに「整体」「骨盤矯正」といった民間療法の名称を入力して、調査を始めるのではないでしょうか。

実際、うちに来るお客様に話を聞くと、私のお店は検索結果の3ページ目あたりに出てくるらしいのです。

私が「よくそこまで調べましたね」と言うと、「私は最低でも5ページくらいまでは、ちゃんと一軒一軒見ます」と答えてくださる。

施術抜きのご相談だけで来られた方も、同じことをおっしゃっていました。

さらに印象的なのは、「最初はAIで探してみたけれど、埒が明かないので、自分でしらみつぶしに検索していたら、こちらのお店にたどり着いた」というお話です。

これ、17〜18年前と変わらない言葉なんですよね。

情報を集める手段は変わっても、最後は自分の目で一軒一軒確かめ、納得できるお店を探し出す。

少なくとも、私のお店にたどり着いたお客様の行動を見る限り、お店選びのこの部分は、AI時代になっても変わっていないようです。

日本人が海外の人とどう違うのか、私にはわかりません。

ただ、日本人には「納得がいくまで、とことん突き詰めていく」という傾向があるのではないか、と私は思うのです。

もし、それが妥当だとしたら、自費施術店の情報発信も、そこを意識すればいいのではないでしょうか。

お客様が疑問に思いそうなこと、判断に迷いそうなことを先回りして、細部の細部まで説明する。

もうこれ以上調べなくても、十分に納得できる。そう思ってもらえるくらい、情報を充実させておくのです。

AIがおすすめを提示してくれる時代になっても、最後に選ぶのはお客様自身。

だからこそ、AIに選んでもらうためだけの情報発信ではなく、お客様が自分の意思で納得して選べるだけの情報を用意しておく。

それが、昔も今も変わらない、自費施術店に必要な情報発信のあり方なのではないでしょうか?